AMBLの日々

新入社員研修でPCを分解して、組み立て直す理由


この記事は、経営者の方や、企業の人材育成を担当する方におすすめの記事となっております。

COLORS編集長のハニーです。僕が社内で師匠と崇める、情報システム担当の古瀬隆一さんが、新入社員に研修でPCを分解させた!という話を聞いて、なんて面白そうなことをしているんだ!なんなら僕も分解したい!と思ったので、話を聞いてみました。




ハニー:まずは古瀬さんの好きな色と簡単な自己紹介をお願いします!

古瀬:赤系統が好きです。色を選ぶなら、紅色ですかね。エム・フィールドに入社して、14年目です。入社して6年ほど顧客向けのシステム開発を担当し、2014年から自社でスマホに押せる電子スタンプ「HiTAP®」の開発・運用を手がけました。現在は、グループ本部にて情報システムを担当しています。


■新入社員研修のコンテンツを決めるまで


ハニー:
昨年まで、新卒の新入社員研修は、社外の企業に依頼していましたよね?

古瀬:そうですね。今年から、自社の研修センター(SITC)を活用するという会社の方針になったので、社内のさまざまな部署が協力して研修メニューを作成しました。なぜ自社で研修をすることになったのかというと、2019年にエム・フィールドで立ち上がった研修事業が拡大してきたからです。研修事業のスタート時は、当社に中途入社するメンバーに向けにAWS(クラウド技術)やAIのスキルを積んでもらうためのセンターでしたが、お客様から研修のご依頼をいただけるようになり、社外向けにAWSやAIの研修を行うようになりました。
今年、新入社員研修の一部をお客様から依頼されたことをきっかけに、来年以降、社外の新入社員研修を受託することを視野に入れて、今まで社外の研修会社に委託していた新入社員研修を一環して自社で行うことになりました。

ハニー:なるほど!自社の研修センター(SITC)を活用する、来年以降の社外へのセールスを視野に入れた施策なんですね!しかし、初めてのことなので、色々な議論があったのでは??

古瀬:はい。せっかく自社でビジネス研修を行うのであれば、外部の研修会社では扱えない、当社グループの新人として必要になる情報をインプットしたい!その後3か月間にわたる技術研修への弾みになるような研修にしたいという気持ちがありました。
社内のメンバーで、繰り返しミーティングを重ねる中で、技術研修の前に一般的なビジネス研修として実施したいと考えたコンテンツは以下の通りです。

 ・ビジネスマナー(メール、電話応対、敬語、名刺の受渡し)
 ・会社の仕組み(経営/ビジネスモデル)
 ・問題解決としての質問と検索
 ・ITリテラシー(ハードウェア/ソフトウェア/ネットワーク)
 ・情報セキュリティ
 ・Office製品の一般的な操作

実際にコンテンツとして成立するのか、限られた時間の中でどんな優先順位をつけるべきか、議論はそれなりの時間を要しました。「コンピュータの基本を知っていて欲しい」、「TCPぐらい知っておいて欲しい」、「情報セキュリティの重要性」などの社内の意見を踏まえ、持ち時間に収まるようにコンテンツが絞られていきました。
検討の結果、私は、ITリテラシー(ハードウェア/ネットワーク/ソフトウェアの一部)と情報セキュリティの一部を担当することになりました。

ハニー:なるほど〜!新入社員研修というと、教えたいことがたくさんあって、コンテンツを絞るのが大変そうですね。結果的に上記の項目を、技術研修の前に開催することになって、ITリテラシーのハードウェアの講義でPCを分解したのですね?

古瀬:はいそうです。最初は雑談で「パソコン分解の研修をしてみたいね。」と話した程度で、企画として形になっていたわけではありませんでした。研修の内容は、国家資格のITパスポートに準じてスライド作成も育成担当と分担し、滞りなく進んでいました。

■PCの分解を研修に取り入れた理由 

ハニー:ではどの時点で、「PC分解しよう!」ってことになったのですか?準備も大変でしたよね??

古瀬:実は、PC分解を研修に取り入れることを決めたのは、3月の最終週になってからなんです。入社日は、4月1日(木)、私が担当する研修は4月5日(月)と決まっていたので、最後はバタバタでした。
なぜ、直前で研修内容を変更したのかというと、座学中心のコンテンツを作ってみたものの、「ただ知識として学ぶだけでは技術研修と同じになってしまう。何か違った体験をさせたい。」という気持ちが捨てきれなかったからです。
育成担当者と講義の構成とオペレーションを詰め直し、PCの分解を盛り込むことを決めました。そこからの動きは早かったです。というか、早くしないと間に合わない笑。
社内稟議を取ると同時に、PCをレンタルしている会社の担当者に連絡したのですが、分解用のPCが手元に届いたのは、4月2日(金)の午後。翌週4月5日月曜日に研修を予定していたので、営業日としては1日切ってました。届いたPCの動作や内部構造を簡単に確認して、近くの100円均一ショップで、ドライバーを購入したり、念の為に、怪我した場合の絆創膏・消毒液も揃えました。

ハニー:新入社員に何か違った体験をさせてあげたいという気持ちはよくわかります。せっかくITの会社に入社したからには、仕事の相棒でもあるPCのことをよく知る必要性もわかります。しかしPCを分解させるなんてよく思いつきましたよね?!

古瀬:私自身が、自作のPCを作ったりするのが大好きなんです。父の影響で、子供の頃から家にあったドライバーなどの工具で物を組み立てることが得意でした。
中学生になった1990年代中頃には、町の電気屋に並ぶX68000、FM TOWNSに憧れていました。勉強が得意ではなかったので、プログラムが何だかもわからず、コンピュータについて学べる工業高校に進む事を決めて、NEC PC-9821を買って貰ったところから私とPCの付き合いはスタートしています。その当時はインターネットなんてなくて、パソコン通信と言われた時代だったんですよ。知らないでしょう笑?
90年後半には、自作PCのハードルが下がり、友人が秋葉原に近く住んでいた事もあって、毎週のように秋葉原に通って、1円でも安いパーツを見つけて自作PCに取り付けてカスタマイズするのが楽しみでした。

ハニー:PCを自作なんて考えたこともありませんでした!ちょっと話が逸れますが、自分で作ると愛着が湧くんでしょうか?普通に購入するPCと自作のPCって違いますか?

古瀬:高校生だった自分には、少ないお小遣いの中で、より納得の1台に出来ることは愛着でしたね。ただし、パーツに関しては、買っては売ってを繰り返して、交換されて行くので、愛着はあるのかなぁ?笑
当時のPCは、いろいろと選択肢(メーカーなど)があったので、より自分のPCが作れた気がします。性能に関しては、オーバークロックと言われる、リスク覚悟で限界まで処理性能を上げて楽しんでいました。その当たりが、自作PCで楽しんでいましたね。

■実際のPC分解研修の様子 


ハニー:
当日は、どのようにPC分解の研修を進めたのでしょうか?

古瀬:当日は、4〜5人毎のグループ実習にしました。まずはコンピュータにおけるハードウェアの構成と役割の説明(いわゆる五大装置)に関して1時間ほど講義を行い、仕組みを理解してもらいました。その後休憩を挟んで、さぁ!分解の時間です!
休憩時間中に、各テーブルに箱に入った状態のスリムデスクトップPCを運び込みました。PCを分解することは伝えていなかったため、「何が始まるのだろうか?」という新入社員の表情を見ながら、こちらも少し楽しくなっていました。

箱を開け「実際にパソコンを分解して見てみよう!」と伝えると、軽く拍手が起こりました。これは嬉しかったですね。
分解をする前に起動してみて、OS: Windows10が起動して、モニターに表示され、入力待ち状態に成ることを確認してもらうところからスタートしました。
事前のアンケートで、新入社員のうち数人が自作PC所有者である事が把握できていたので、育成担当者がPCを自作できるメンバーをグループ毎に分散させて配置してくれていたので、安心して進めることができました。
PCは、メーカー製で工具はほとんど必要なく、簡単に開腹が出来るものを用意しました。慣れた子は、手際よく接続ケーブルを外していきましたが、唯一、CPUヒートシンクファンの取り外しにプラスドライバーを使っていました。分解しながら、記憶装置(HDD、メモリー、光学ドライブ)、演算装置(CPU)、制御装置(CPU)などを説明しながら講義を進めました。そして、これが大事なのですが、分解したら組み立てです。最初に起動させたWindows10を分解して、再度起動するまでを今回のハードウェア研修としました。

■研修の受講者の感想 


ハニー:分解するだけじゃなくて、組み立てし直すんですね!それはパーツの名前とか役割とか覚えられそうですね!新入社員にとっても興味深い体験だったのでは?

古瀬:はい。好評な意見が多かったです。
「実際にパソコン本体をばらすグループワークが未経験者からは衝撃的だった。」、
「 パーツの名前と位置も一瞬で覚えられて、やはり手を動かすのは大事だと感じた。」、「経験はあったが、会社の研修で内部まで見る機会があるとは思わなかった。」、
「今後の学習のための事前知識として、やっておいてよかった。」
など、楽しかったという感想が多かったです。
大前提として、「ITリテラシー(ハードウェア)」編としての理解を深めてもらう目的でしたが、講師側の裏テーマとして、グループワークで同期のコミュニケーション深めてほしいという狙いもあったので、初めて研修担当をしましたが、裏テーマも達成したのは、うれしい誤算でした。

ハニー:受講者の学びも深まり、講師側の達成感も味わえたんですね!自社で研修をすることになったからこそ、「PCを分解して組み立てる」なんて驚きの研修内容を生み出せたんでしょうね。料理人の方が包丁を、大工さんがカンナやノミを大事にするように、私たちにとってPCは欠かせない仕事道具ですものね。新入社員のみんなにも、仕事道具に対する愛着が沸いたら嬉しいですね!

古瀬:包丁、カンナ・ノミ!!流石、ハニー解ってる!自分の手に馴染む道具って大事と考えています。だから、自分の道具であるPCの機能について知ることは、とても大事です!特に、ソフトウェアエンジニアの道を進むとしても、その作るソフトウェアは、ハードウェアの上でなければ動かないのです。そして、何にでも「なぜ?」を大事に、興味を持ってもらいたいです。

ハニー:古瀬さんありがとうございました!このように当社のITに関連した研修では、会社の企業文化にあったオリジナルな研修立案からお手伝いさせていただきます!
古瀬にPC分解の講義を依頼いただいたら、きっと駆けつけます!(←と、勝手に営業しておきます笑)
IT全般、IT技術、AI、AWSなどクラウドに関する社員研修、IT研修、新入社員研修のご相談は、以下の研修担当までご連絡ください。PCの分解研修も承ります笑。

問い合わせ先

株式会社エム・フィールド
SITC事業部:研修担当
macademy@sitc.jp

ABOUT ME
honey
COLORS編集長の宮坂ハニー(トイプードル2歳)です。 趣味は日向ぼっこ、好きな食べ物はプリン。 現在、海と山の二拠点生活を実現できないか模索中。