AMBL(アンブル)には社内限定のブログがあり、社長の毛利さんをはじめとした役員からの投稿や、部活の活動報告、事例共有や社内勉強会資料の共有、毎月の中途入社メンバーの紹介、社内でリスペクトされているエンジニアを紹介する「respectの輪」など、ほぼ毎日コンテンツを更新しています。
その中から、先日アップされた毛利さんのお話がとても良い内容だったので、社外版に編集したものを公開します。

皆さん、こんにちは。
AMBLで社長を務めている毛利です。
AMBLは社内の風通し良さが魅力の一つで、社内やslackでメンバーから気軽に質問されたり、食事に誘われたりすることがあります。
その延長で、最近入社した新卒や中途入社のメンバーから「壁にぶつかったり、悩んだりしたとき、どう対処しているんですか?」と質問されることが何度かありました。
質問を受けて、改めて自分なりに言語化してみたとき、
1.悩みや問題に直面したとき、自分の状況や感情を分類し、構造を可視化する
2.分類・可視化することで、客観的な視点から、納得感のある選択肢を見出す
この2つを無意識に行っていたことに気が付きました。
実はこの考え方はAI時代においてもっとも注目されている「数理モデル」に通じるものです。
メンバーからの質問にはその都度答えてきましたが、皆さんの得心した表情を見て、この考え方は社内外を問わず参考になるのではないかと感じたので、今回社外向けの記事に編集してお届けさせていただきます。
目次
数理モデル思考とは?

エンジニアの皆さんにはおなじみの「数理モデル」という言葉ですが、AI技術の発展とともに改めて注目されています。
これは、ある対象や現象を抽象化・簡略化し、数学的に表現したものです。
この考え方を思考法に落とし込んだ「数理モデル思考」は、現実の複雑な問題を、客観的なデータで構造化し、論理的に考えるための思考法と言えます。
私たちは悩みや問題に直面すると、感情や不安に支配されがちです。しかし、この数理モデルの考え方を用いることで、「第三者の自分」を立てて、客観的に状況を整理できます。
悩みを「数理モデル」で解決する

「数理モデル思考」は、感情や状況を分類し、可視化するのに役立ちます。
例えば、「新しい部署に異動して、仕事についていけるか不安」という悩みがあるとします。この漠然とした不安を、数理モデル的に分解してみましょう。
- 要素(変数)の抽出
- x1: 未経験の業務知識
- x2: 新しい人間関係
- x3: プレッシャー
- x4: 求められるスキルレベル
- それぞれの要素を具体的に数値化
- x1: 業務知識を習得するのに必要な時間(例: 2ヶ月)
- x2: 新しい人間関係を構築するまでの期間(例: 3ヶ月)
- x3: プレッシャーの原因(例: 上司からの期待)
- x4: 習得すべきスキル(例: プログラミング言語〇〇、ツールの使い方)
このように感情を「数値」や「具体化された要素」に置き換えることで、漠然とした不安は2ヶ月間集中して学ぶべきことや新しく人間関係を築くための具体的な行動といった、対処可能な課題へと変化します。
そして、実は自分が恐れていた課題や不安は、思ったほど大したことではないことに気づくことができます。
私自身に置き換えると、AMBLの前身であるエイアイ・フィールドを立ち上げた際、同じような葛藤を抱えていました。
「エンジニアではない自分が、最先端のAIビジネスの社長として適切に務まるのだろうか」という不安です。
当時はまだAI黎明期で、市場の成功事例も少なく、事業の将来性が見通しにくい状況でした。こうした不確実性が、私の個人的な不安をさらに増幅させていました。
しかし、そうした状況でも、私は自分自身の感情を客観的に「分類」し、「可視化」する、いわゆる数理モデル思考を用いることで、冷静に目の前の課題と向き合うことができました。
私の場合、以下のように思考を整理しました。
- 要素(変数)の抽出
- x1: AIの技術知識ギャップ
- x2: 市場の不確実性
- x3: 収益性リスク
- x4: 成長ポテンシャル
- それぞれの要素を具体的に数値化
- x1: 専門知識を補うための学習やAI人材の獲得のコストと時間
- x2:市場調査に基づく成功確率やリスク要因
- x3:事業計画に基づく売上目標とコスト
- x4: 期待される今後の市場規模や社会的インパクト
こうして変数と数値を定義することで、不必要な感情に囚われず、挑戦するメリットとデメリットを切り離して捉えることで、漠然とした不安が具体的な課題に変わり、それぞれの課題に対する具体的な解決策を検討、またリスクコントロールを意識することで、エイアイ・フィールドの立ち上げと事業を軌道に乗せることに成功しました。
日々の思考ツールとして

数理モデルの考え方は、ビジネスにおける大きな決断だけでなく、日々の悩みや感情の整理にも非常に有効です。
例えば、旅行の計画を立てる際にもこの思考法は役立ちます。
「行きたい場所がたくさんあるけれど、時間や予算は限られている…」
そんなとき、感情に任せて選ぶのではなく、以下のように要素を分解して整理してみましょう。
- 要素(変数)の抽出と数値化
- x1: 費用
- x2: 時間
- x3: 経験価値
- x4: 達成したい目的
- それぞれの要素を具体的に数値化
- x1: 旅費、食費、お土産代など、トータルでかかるコスト
- x2: 移動時間、滞在日数、休みやすさなど、スケジュール的な負担
- x3: どれだけ新しい経験や感動が得られるか、自分にとっての満足度
- x4: リラックスしたいのか、アクティブに楽しみたいのか、目的達成の度合い
このように、複数の選択肢を数値や要素で比較することで、費用対効果や時間的な制約を考慮した上で、最も自分に合った旅行先を論理的に選ぶことができます。
AIが進化する現代において、「数理モデル」は単なる技術的な側面だけでなく、人間の思考を整理し、より良い選択をするための強力なフレームワークとなります。
何か問題にぶつかった時には、ぜひこの「第三者の自分」を立てて、感情や状況を分類・数値化してみてください。きっと、新たな視点と解決策が見つかるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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