こんにちは!スミです。好きな色はレモンイエローです。
私は普段、Webサービスや様々なソリューションを提供しているクライアントのデータを活用した企画の立案を行っています。
今回は、簡単なデータ分析で、大幅な増収を実現できたデジタルマーケティング施策の実例をご紹介させていただきます。
■施策の概要と結果
今回ご紹介する事例は、芸能系ニュースサイトのデータを分析し、広告収入アップを実現した施策です。驚くほどシンプルな施策ですが、大きな変化がありました。
下の画像は「施策前」と「施策後」のページ構成図(一部)です。Before・Afterで変更があったのは1点だけ、広告枠の位置変更のみです。これだけで月3,000万円の増収(前月比140%)を実現することができました。
なぜ、広告枠の位置を変更しただけで大幅な増収を達成できたのでしょうか?どのようなデータ分析を行なったかを詳細にご紹介します。
■使用したデータ
広告収入アップ施策のために、確認したデータは以下の2点です。Googleアナリティクスを使ったデータ分析や、それを元にした施策は色々とありますが、今回お伝えしたいのは、たった2つのこのデータだけで成果がでた!という点です。
1.Googleアナリティクスのイベントデータ
2.Google Ad Managerの広告配信実績のデータ
Googleアナリティクスで「イベント」を設定することで、ユーザーがどのコンテンツをダウンロード、クリック、フォームの送信、動画の再生などをしたのかが測定できます。コンテンツ毎の利用率(イベント数÷PV数)を算出し、ユーザーが魅力的に感じているコンテンツと不要なコンテンツを確認することができます。
Google Ad Managerを利用すると、広告配信の実績を確認することができます。実績には広告表示回数や広告収益額だけでなく、広告の視認率(アクティブビュー=実際にユーザーが広告を目にしたかどうかを判断できる)といったデータも含まれています。
この広告の視認率のデータを活用することで、ヒートマップツール(Webサイトでユーザーがどのような行動をとったのかを色別にわかりやすく可視化したツール)を導入していなくても、ユーザーが、ページのどの部分で離脱しているのかを推測することができます。
ちなみにGoogle アナリティクス、Google Ad Managerとも無料で利用できるサービスです。
■データから気づいた広告実績の異変
Google Ad Managerの広告配信実績と、Googleアナリティクスのイベントデータを比較してみると、サイトへの流入経路によって広告の収益性が異なる事に気づきました。
以下はあくまでイメージではありますが、広告のクリック率や広告単価に大きく差異が生じていたのです。
■流入経路によるページ構成図の比較
流入経路によって、ユーザーの属性が異なるため、クリック率や広告の単価が変化することは不思議ではありません。例えばiPhone等のiOSとAndroidでは広告単価に大きな差があります。これはiOSのプライバシー保護が強固で、ユーザーを追跡するような広告(リマーケティング広告など)を使用することができません。例えばAという流入経路はAndroidが多くて、BはiOSが多いといった傾向があると、流入経路によって広告の単価が変わります。ただし、今回はあまりにも流入経路による差が大きいことを疑問に思い、実際のサイトをチェックすると、流入経路によってページの構成が異なっており、広告枠の位置も異なっていることがわかりました。
サイトを管理しているチームに確認すると、以前に流入経路によってユーザーの属性が異なっていたのでそれにあわせて流入経路ごとにページ構成を変えてPVを増やす施策をしていたとのことでした。
同じサイト・同じ広告枠でも、広告を設置する位置が少し異なるだけで、広告収入に大きな差が生まれていたのです。
■提案の際に気をつけたこと
データ分析をした結果、ページ構成によって広告収入が異なることがわかり、収益性の高いページ構成に統一することで増収に繋がるという仮定はできたのですが、ページ構成の変更はサイト運営者にとって一大事です。下手をすればユーザー体験を大幅に損ない、PVの減少を招きかねません。そのため、「PVを減らさず、かつ増収できるという根拠」を示す必要がありました。
そこで、Googleアナリティクスのイベントデータを集計し、「ユーザーが離脱するポイントを可視化」しました。この分析によって、収益性の高いページ構成に統一して、広告枠の位置を変更しても、PV減少につながらないことがデータからも分かったため、根拠資料として採用することにしました。
データの分析だけに頼らず、自分で対象のサイトをユーザーとして頻繁に利用し、サイトのコンテンツを完全に把握しました。実際にサイトを利用することで、データから見えてきたユーザーの行動が正しいものであるという確証をもって提案に望むことができました。
更にテスト環境を用意し、変更前と変更後のサイトイメージを以下の図のように視覚的に伝えました。
根拠となるデータと、改善後のサイトのイメージもできていたことから、提案から1週間という短期間で改善施策を施したサイトのリリースを実現し、月3,000万(前月比140%)の増収という結果に繋がりました。
■この施策からの学び
1.高度な技法を用いた分析が必ずしも必要なわけではない
既存のデータを簡単な方法で確認するだけでも気づきがありました。 今回は基本的なデータだけで仮説~根拠までを明確にすることができました。分析から提案までのスピードが早いのもメリットといえるかもしれません。
クライアントからすると売上があがる提案であれば、その施策に至った分析の手法は機械学習などの高度な技法が必ずしも必要ではないということを実感しました。
2.最も大事なのは分析対象となるサービスやサイトを徹底的に理解すること
自分が1人のユーザーとしてサービスを利用することで、サイトの課題が見えてきたり、データを元にした改善施策案に自信をもった提案ができます。外部のコンサルタントがデータだけで判断した施策より、1人のヘビーユーザーの声として改善施策を届けたことがサイト運営者にとって響く提案となったのだと思います。
簡単なデータ分析で、大幅な増収を実現できた施策を紹介させていただきました。サイトの改善にデータ分析は欠かせませんが、データだけでなく、実際のユーザーとしての利用者目線、ユーサー視点が加わることで、スピーディーに満足がいく改善施策ができたと思います。
少しでもお役に立てれば幸いです。
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