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地域創生に向けた観光事業のデータ利活用の必要性について

はじめに

こんにちは。AMBLクラウドネイティブ第2事業部の來間政人です。好きな色はターコイズブルーでサーフィンが大好きです。今年はいつも行く湘南エリアではなく、東京オリンピック会場の近くである一宮に入ってます。
千葉の海はプロサーファーが多く入っていることもあり、色々と刺激を受けます。オリンピック後なので、一宮町や九十九里浜周辺は観光客が増えて賑わっているのかな?と思ってましたが、感覚的にはオリンピック前とそこまで変わらない感じがします。
恐らく、コロナの影響でしょうね。コロナによる行動制限も解除されたので、もっと観光客が増えて活性化してもいいのになと思うのですが、地方への人流を増やすことは、そう簡単ではないようです。

そこで、今回は「観光事業のデータ利活用の必要性について」と題して、地方の活性化に効果が出せるのではないかと私が考える、観光業のデータ活用の現場、AMBLの事例、グランドデザイン案をご紹介します。
観光産業に携わる方や、ビッグデータ分析の参考事例を知りたい方にオススメの記事です。

データの利活用とは?

昨今、「データ利活用」という単語をよく聞くので身近な方もいらっしゃるかと思いますが、聞きなれない方もいるかと思いますので、根本的なところから簡単に説明します。

「データの利活用」とは、課題解決のためにデータを集め、分析し、施策を検討して実行する一連のプロセスを意味します。
データの利活用が一番進んでいるのが、マーケティング領域です。消費者のニーズの多様性が進んだことで、大衆に向けたマスマーケティングよりも、顧客一人ひとりにアプローチするダイレクトマーケティングが求められるようになりました。

こうしたマーケティング領域の動向に合わせ、AIを始めとした分析技術の向上をきっかけにいままで企業が収集してきたものの、明確な利用価値を見出せていなかった以下の図のようなビッグデータに大きな価値が生まれました。

私が日々担当している業務でも、ダイバーシティ(多様性)が進む現代では、一人ひとりが満足するサービス・プロダクトの開発やプロモーションのために、データの利活用が非常に重要な時代に突入していると感じています。

マーケティングではデータの利活用が進んでいますが、地方創生に大きく関連する「観光」の分野ではどうでしょうか?

■観光業のいま

https://www.mlit.go.jp/kankocho/iinkai/content/001513802.pdf


上図は、「第1回観光DX推進のあり方に関する検討会」の資料からの抜粋です。コロナ禍以前の統計ですが、主に観光に関わる「宿泊業」と「飲食サービス業」は、他の事業と比較して利益率が低くなっています。


https://www.mlit.go.jp/kankocho/iinkai/content/001513802.pdf

こちらも前出の検討会の資料ですが、観光を支える「宿泊業」と「飲食サービス業」はいずれも従業員一人当たりの生産性が低いことがわかります。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/iinkai/content/001513802.pdf

現状、宿泊業と旅行業の企業は、従業員規模が大きいほどデジタル化は進んでますが、大多数を占める中小規模の企業ではほとんどデジタル化が進んでいません。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/iinkai/content/001513802.pdf

さらに上図の調査によると、8割以上の企業がCRM(顧客関係管理)に取り組めておらず、取り組んでいる企業においても、半数以上が個人は未取得で活用に至っていないなど、データの利活用に関する課題を抱えていることが明白です。

■観光庁が提唱するDX推進の在り方

観光庁は、2022年9月に「第1回観光DX推進のあり方に関する検討会」の中で、当面の観光政策の考え方として以下4つのテーマのもと議論を行い、解決策を導き出すことを発表しています。

■4つのテーマ

  1. 国内交流の回復・新たな交流市場の開拓
  2. 観光産業の変革
  3. 交流拡大により豊かさを実感できる地域の実現
  4. 国際交流の回復・質的な変革


そして、打ち手として掲げた4本柱が以下になります。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/iinkai/content/001513802.pdf

打ち手1:旅行者の利便性向上 周遊促進
打ち手2:観光地経営の高度化(DMO、地方自治体等)
打ち手3:観光産業の生産性向上(宿泊、アクティビティ事業者等)
打ち手4:観光デジタル人材の育成・活用

観光庁が発表している通り、人口減少が進む日本において、国内外との交流を生み出す観光は地方創生の切り札と言えます。そして、観光分野のデジタル実装を進め、消費拡大、再来訪を促進するための人材を育成することが必要です。さらに地方の様々な業種をデジタルで連携することで地域全体の収益最大化を図り、地域活性化と持続可能な社会作りを目指すというのが観光庁の計画です。

■自治体が掲げる課題の仮説

旅行者の利便性向上 周遊促進・ウェブサイトやSNS等を通じて情報発信を行っているが、量と質が足りない。
・旅行者個人の趣味・趣向に合致しない
観光地経営の高度化
(DMO、地方自治体等)
・地域を訪れる旅行者に関する実態を把握できていない。
効果的な誘客ができていない。
観光産業の生産性向上
(宿泊、アクティビティ事業者等)
・業務効率を改善するツールを知らない
旅行者の関心・行動などを把握していない。
旅行者の関心や行動を踏まえたサービスを提供していない。
観光デジタル人材の育成・活用デジタル化に精通した人材が不足している。
人材を育成する取組が不足している。

地方活性化のために観光が有効であることや、観光庁が提案している打ち手については、納得度が高い方が多いと思います。しかしながら、打ち手に関する具体的な課題を詳しく見ていくと、そもそも地方で観光に携わる方々が、「グランドデザインが描けない」、「データの分析方法がわからない」、「システムの基盤構築が出来ない」といった根本的な部分で悩まれている様子が伺えます。

このように幅広い課題を解決するためには、AMBLのように課題の定義から解決まで一緒に伴走できるDXの専門チームとタッグを組むことが結果的に一番の近道だと自負しています。課題の全貌を把握することと、適切なゴール・期限を設定することができないために、個別最適を繰り返し、結果的に使いにくいシステムが出来上がってしまったお客様を私は多く見てきました。
コロナ禍がひと段落した今こそ、デジタルシフトを加速し、いち早く事業を変革(DX)させる絶好のチャンスです。今DXに取り組むことが、長い目でビジネスの継続性を高めると確信しています。そのような長期的スパンで事業の成長を見据えているお客様にAMBLは一気通貫したサービスをご提供させていただきます。

■地域創生のためのグランドデザイン案

ここまでの情報を元に、参考までに私が考える地方の観光を活性化させるためのグランドデザインを描いてみました。

【仮説】
観光客一人ひとりにアプローチを行うダイレクトマーケティングを実施する。

【打ち手】
Web/Realの両チャネルを共通認証で統合し、統合されたデータをもとに分析・プロモーションサービスを一気通貫で提供し、効果的な広報を実現する。

Webサイト閲覧履歴やECサイトでの購入履歴などのウェブチャネルと、コンビニや飲食店などの店舗で利用するポイント・キャッシュレス決済利用履歴などのリアルチャネルをアカウントの共通認証によって一つのDMPに統合し、データ分析によるターゲティングとプロモーションサービスを一気通貫で提供します。
データ分析から広告出稿までをアウトソーシングできるサービスは、マーケティング領域においても強みとなります。

こちらはあくまで一例です。お客様の目的や既存のシステムの仕様に合わせてデザイン構築が可能です。

■実績紹介:AMBLのデータ分析による地域外の集客実績

AMBLで実際に手がけた事例をご紹介します。


【目的】
キャッシュレス決済のポイント還元をフックに、域外の集客を目指し特定の域内の消費を拡大させる。

【打ち手】
・効果的な広報実現のため、観光客の趣味嗜好を分析する。
・結果のもと予兆モデルユーザーを生成。モデルユーザーに合致するユーザーを対象にキャンペーン情報を広告などを使って発信し、参加を促す。

【結果と考察】
・キャッシュレス決済の決済金額が前年同月比で2倍超に伸長。
・キャンペーン情報を発信した広告のCTR(クリック率)とCVR(コンバージョン率)も一般平均値を超える結果に。

■行動変容に向けた体験価値の創造を

データを利活用することで消費者の行動変容を促すきっかけを作ることはできますが、実際に消費者に行動を起こしてもらうためには、データを元にその場でしか体験できない「体験価値」を明確にすることが必要です。観光名所、景色、アクティビティ、食、そしてその土地ならではの伝統やおもてなし、日本にはまだまだ多くの観光資源が眠っています。

AMBLのマーケティング事業では、大型のリアルイベントの企画や、ブランドカルチャライズを取り入れたインバウンド施策も手がけております。地方の特性に合った体験価値を明確にし、人々の行動変容を促す施策のご提案も可能です。

最後までお読み頂きありがとうございます。今回は、「地域創生に向けた観光業のデータ利活用の必要性について」と題して、観光庁の資料から現状とそこから見えるDXを含めたデータ利活用の必要性、AMBLの実績とグランドデザイン案をご紹介しました。
AMBLは課題発見からゴールまでしっかりとお客様の隣で伴走させていただきす。
ブレストの段階から是非、気軽にお問い合わせ下さい。




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來間政人
国内大手通信業のお客様に対して、先進先端技術を用いて ビジネス/デジタル変革のプランニングから実行推進の支援をしております。 民間企業のプロジェクトだけではなく国家プロジェクトにも参加。 引き続き、様々な分野に於いて課題検証を進めながら先進先端技術の利活用発展に取り組んでおります。