AMBLは「何を創るかより、誰と創るか」を掲げ、技術力だけでなく、対話することで新しい価値を創造し、AI、システム開発、UXデザイン、マーケティングの分野でより多くのスペシャリストが活躍できる組織を目指しています。
そして、社員の成長につながる環境を提供することが、お客様の成長にもつながると信じています。今回より、技術面でAMBLを牽引するCTO(Chief Technology Officer)の堀浩史とCAIO(Chief AI Officer )の久保卓也の対談コラムを数回に分けて公開、AIジャンルを主軸に、加速度的に進化するテクノロジー事情について考察いただきました。
CTO 堀浩史
CAIO 久保卓也
堀浩史(以下、堀):久保さんとの対談なので、AI関連のニュースについて話していければと思っています。AMBLでは今年1月に社内向け生成AI「AMBL-Chat」をリリース、セキュアな環境で生成AIを使用できるようになっただけでなく、社内情報に関するさまざまな質問に「AMBL-Chat」が回答することでバックオフィスの負荷が軽減しました。
そして、社員が「AMBL-Chat」をより活用できるよう、3月にプロンプトコンペを実施、たくさんの社員から応募いただき、社内の生成AI活用の一助を担いました。
今回はその取り組みから、プロンプトの話を久保さんとしようかなと思っています。ご存知の方は多いと思いますが、プロンプトを簡単に説明すると「AIとの対話やコマンドラインインタフェース(CLI)などの対話形式のシステムにおいて、ユーザが入力する指示や質問」のことです。
久保卓也(以下、久保):原理的にはLLM(大規模言語モデル)が知っている情報をどうやって引き出すか、そういうテクニックのことをプロンプトエンジニアリングってまとめて言われていたりしますね。
堀:逆説的に言うと、AIは行間を読めないから言葉でちゃんと聞かないと回答してくれないよってことですよね?
久保:まさにその通りです。AIはコンテクスト(文脈)を読んで回答することにおいては非常に優秀ですが、より精度の高い回答を引き出すためには丁寧に伝える必要があります。なによりLLMが学習した範囲内でしか回答できないですし、人間のように空気や行間を読むことができないので『こんなものを出してほしい』という発想力と言語力が求められます。
堀:AIのプロフェッショナルの視点でうまくプロンプトを創るコツってありますか?
久保:どのように使いたいかにもよりますね。ワンショットで的確な回答を引き出したい場合に有効な方法もあれば、何回も応答することで論理的な思考能力が求められるタスクにおいて精度を向上させる「リーズニング」というテクニックで効果的な手法もありますしね。先日商用化が発表されたtsuzumiの案件に参画して分かってきたのは、どうやらプロンプトデザインは、LLMがどういうインストラクション学習をしてきたのかを当てる一種のリバースエンジニアリングになっているということです。LLMが学んだ方法で命令してあげると思った通りに出力しやすいので壮大なハックをしている感じを受けています。
久保:他にも「あなたは優秀なプログラマーです」と入力するとちゃんとプログラマーっぽく回答したり、「あなたの限界を超えてください」と入力すると精度が向上するといったプロンプト例をネットでよく見かけますが、これはLLMが基本学習に用いたドキュメントに準拠して出しやすいので「優秀な~~」とするとその領域で有用な文章が近くにある可能性が上がり、パフォーマンスを出してくれるイメージです。逆に一般的なことに対しては返しづらくなる印象です。「あなたの限界を超えてください」も同様ですね。難しいタスクに対しては精度上がるんですけど(おそらく学習データに難しいタスクの場合それっぽい言葉が近くにある)、一方で簡単なタスクでこのプロンプトを使うと精度下がるんですよね。ぜひこの記事を読んでいる皆さんも色々試してみて、精度の高い回答を引き出すようなプロンプトを作成してほしいなと思います。
(vol.2に続く)