システムデザイン

IFRSについて調べてみました。

*本記事は旧TechblogからCOLORSに統合した記事です。

こんにちは!
エンジニアリングソリューション事業部のSです。
業務系システムエンジニアとして金融システムの開発に携わっています。

先日、業務に関する調べ事をしている際に「IFRS」の事を知りました。 会計に関してはまだまだ不明点が多いので、今回は自分の備忘録も込みで調べた内容をまとめてみたいと思います。

目次

  1. IFRSとは
  2. 特徴
  3. 日本会計基準との違い

1.IFRSとは

  • 国際財務報告基準。
    International Financial Reporting Standardsの略称。
  • IASB(International Accounting Standards Board:国際会計基準審議会)が作成している会計基準。

「国際財務報告基準」という名称の通り、日本の会計基準とは異なる会計基準であり、
導入することによって以下のようなメリットがあります。

  • 日本市場への海外資本の呼び込み
    投資家が同一の会計基準で投資先の比較検討が行えるようになり、判断の効率化され、投資がしやすくなる。
  • 財務諸表作成の効率化
    世界的な企業であれば、拠点のある国ごとに財務諸表を作成する必要があるが、IFRS基準で作成出来れば作成の効率化が図れる。

IFRSの導入方法は大きく2通りあります。

  1. コンバージェンス
    自国の会計基準をIFRSに寄せて変更していく方法。
    基本は自国の会計基準であり、状況に応じて基準に例外を設けることも可能。
  2. アドプション
    IFRS自体を自国の会計基準とする方法。

日本は下記の図に「IFRSの強制適用をせず、任意適用を認める」の地域に該当し、
2020年10月末時点で221社がIFRSを適用している状態です。

                        <figure>
                                        <a href="https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/kaikei/20201106/5.pdf" data-elementor-open-lightbox="" target="_blank" rel="noopener noreferrer">
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                                        <figcaption>(引用元:金融庁 会計基準を巡る変遷と最近の状況)</figcaption>
                                    </figure>
        <h2>2.特徴</h2>       
    <p>IFRSでは「投資家が企業の評価を行うために必要な情報を提供する」ことを目的としているため、以下の特徴があります。</p><ul>
  • 原則主義
    日本基準が「細則主義」であるのに対し、IFRSは「原則主義」。
    大まかな決まりがあるだけで数値基準や判断基準などの決まりはない。
    そのため、IFRSを導入する場合は、その考えに合わせて各企業が根拠をもった上で実態に合わせて判断する必要がある。
  • 資産・負債アプローチ
    日本基準では「収益・費用アプローチ」が採用されいるのに対し、IFRSは「資産・負債アプローチ」が採用されている。
    収益・費用アプローチの考え方は「利益=一定期間の収益-一定期間の費用」(P/L重視)だが、資産・負債アプローチは「利益=一定期間の開始時点の純資産-一定期間の終了時点の純資産」(B/S重視)である。
    これは、中長期的な企業の成長性を測り、リスクを回避したいという投資家の視点を重視した会計基準であるためである。
  • 公正価値重視
    IFRSでは公正価値が重視される。
    収益・費用アプローチでは、取得原価をそのまま計上する必要があるが、これは過去の結果を表す情報のため、企業の成長性を測りにくい。
    反対に資産・負債アプローチでは資産だけでなく負債も評価対象となるので、②の通り企業の成長性が測りやすくなる。

3.日本会計基準との違い

日本基準会計とIFRSの大きな違いとして「のれん償却」があります。
そもそもですが、金融で使用される「のれん」という言葉には、以下のような意味があります。

各企業が持つ「ブランド」「ノウハウ」「顧客との関係」「従業員の能力」等を総称する無形固定資産のこと。一般に、企業が他社を買収する際にかかる金額には、買収する企業の純資産に加えてのれんがかかるとされている。つまり、買収金額-買収される企業の純資産=のれんと考えることができる。

 (引用元:野村証券 証券用語解説集

この「のれん」の償却方法が日本基準会計とIFRSでは異なります。

                        <figure>
                                        <a href="https://www.sumire100m.com/entry/2018/08/24" data-elementor-open-lightbox="" target="_blank" rel="noopener noreferrer">
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                                        <figcaption>(引用元:株式投資の育て方 【日本基準とIFRSの違い】のれん償却の有無で「利益」が変わる理由とは?)​</figcaption>
                                    </figure>
    <p>上記の通り、日本基準会計では20 年以内で償却することとされていますが、IFRSでは、価値が下がったら(無くなったら)損失として一度に計上します。<br />それまでは償却不要なため、IFRSを導入する事で、資産を多く見せる事が出来てしまいます。</p>      
      


まとめ

最近ではIFRSを導入している企業に対して、新リース会計基準(IFRS16号)の適用が義務付けられるようになりました。今後も長期に渡って新しい基準の適用が発生すると思われますので、引き続きチェックしていきたいと思います。